セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

組織におけるコミュニケーションパスの問題

人が何人か集まってプロジェクトを行う場合、どのような組織を組み、レポートラインをどのようにするかというのは非常に重要な問題です。

常時炎上しているような組織やプロジェクトは、コミュニケーション戦略に問題があったり、そもそも戦略そのものがない場合が多いように思います。

プロジェクトメンバーが増えてくると、急激に歩留まりが悪化することは、システム開発に携わる人ならば、誰もが実感として感じていることと思いますが、今回は、コミュニケーションパスの本数という視点から、このことを見て行きたいと思います。

コミュニケーションパスとなんぞや?

そんな用語があるのかは知りませんが、コミュニケーションを行う人同士の連絡経路の数です。

「全員が全員と必要に応じて連絡を取り合う」というモデルを取る場合、下記のようにコミュニケーションパスが増大していきます。

これは、人数-1の等差数列の和に等しくなっており、計算式は[N * (N - 1) / 2]で表されます。

組織を100人まで増やした時のコミュニケーションパスの増加をグラフにしたものが下記です。

最終的に100人の時に4950本のパスが発生しています。

この様な状況になることは流石に稀だと思いますが、「指数関数的に増加する」ということがわかってもらえたかと思います。

理想的な組織のカタチとは

全員がバラバラにコミュニケーションするのは、大変なので組織を分割します。

リーダーを決めてリーダーに組織のまとめ役をやってもらい、他の組織とのやり取りを一括で代行してもらうことにします。

こうすることによって、コミニュケーションパスを本数が劇的に少なくなります。

上記の例で言うと、10人の組織が持つパスを本数が45本だったのに対し、5人つづに分割することで、21本に減少しています。

では、組織を分割していくとどんどんコミュニケーションパスは減少していくのでしょうか?

答えは、YESです。

コミニュケーションパスを最小にする構成には、この様な物があります。

リスト型は、直列的な構造です。

この場合のパスの本数は、[N-1]本となり最小となります。

しかし、この様な組織では、端から端まで情報を伝達するのに伝言ゲームが発生してしまいますね。(^^;

次の構造は、ハブ型で、中心人物を囲んでいます。

この場合もパスの本数は、[N-1]本となります。

しかし、この場合、中心人物の負荷が相当しんどそうです。(汗

最後は、ツリー構造です。こちらもパスの本数は、[N-1]本です。

この場合、伝言ゲームが無駄に長くなりにくいですし、一箇所に負荷が集中することも避けられそうです。

考察

世の中の企業やグループの組織構造が、ツリー型をしているのは、コミニュケーションパスという点でも理にかなっていたというわけです。

本当は、何人ぐらいの単位でグループ分けしていくのが一番効率的かについて考察したかったのですが、今のところ「バラバラにする」が一番効率的になってしまうため、(面白い)数学的なモデルにすることが出来ず、現在考え中です。(^^;;

とりあえず、「メンバー全員が個別に連絡を取り合う組織というのは早晩破綻をきたす」ということは辛うじて示せたのではないかと思います。

だいたい5人(=10本)から10人(=45本)の間が限界では無いでしょうか。

もし、あなたの参加しているプロジェクトが炎上しているようならば、コミュニケーションパスという視点で、体制を見なおしてみると面白いかもしれません。