ブギーボードというツールが有ります。
液晶を貼った板で、ペンで書くと圧力に反応して線がかけます。
そして、ボダンを押すと消える。
これだけのツールです。
書いた線や絵を保存することはできません。(一部保存可能な商品もあります)
石版みたいな仕組みなので、電子スレートとも言われています。
消えることが保証される
一見使いにくそうなツールですが、「絶対消える」ということが保証されているツールというのは、他に思いつきません。
紙や、ハードディスクは、本当に消えているかという補償を得るのに、結構な手間がかかります。
人間の無意識下の心理として、「情報が残る」「漏洩するおそれがある」というのはプレッシャーになっていると思います。
その点、ブギーボードならば、ボタンひとつでほぼ完璧に消えます*1。
書く→消す→書く→消すというリズムは独特のもので、慣れてくると心のなかにそっと閉まっておいたようなことも書けるようになってきます。
王様の耳はロバの耳に出てくる穴のような存在とでも言いましょうか。
消える前提で書く
ブギーボードに書かれた内容は、消えることが確実視されます。
つまり、消えること(消されること)を前提として覚悟の上で書くことになります。
これもブギーボードに特有の現象です。
その内容は、真実の吐露でもいいですし、ちょっとした落書きでも構いません。
紙や電子ソフトウェアで書いた内容は、なんだかんだで取っておいてしまいます。
また、消してしまったものをあとでもう一度使いたくなると*2、「ああ、消さなきゃ良かった」と後悔します。
ブギーボードには、その後悔はありません。
なんせ、保存できないので。書いた瞬間に、儚い定めが決定しています。
フラッシュシンキング
これは僕の用語です。
ブギーボードのこの特性を活かして、フラッシュシンキングという一人ブレインストーミングが可能です。
やり方は簡単で、テーマにそって(沿わなくても)思いついた内容を「書く→消す→書く→消す」と繰り返すだけです。
これができるのは、ブギーボードだけです。
電子スレートとしての反応性*3が、最大限に活かされます。
紙のように自在に書き、ボタンひとつで瞬時に消す。
頭のなかを閃きのフラッシュが瞬くように思考していくことができます。
頭のなかだけの思考だと、考えたことがすぐに忘却の彼方に消えてしまいます*4。
しかし、手で書き目で見た記憶というのは、それよりは長い時間保持できるようになります。
図や、数式などを交えて自由に記述できる点も思考の補助装置として優秀だと思います。
ひとしきり、考え事をしたら、紙なり電子なりにまとめていけばよいのです。
メモとして
最後になりますが、一番一般的な使い方として、メモ用紙代わりになります。
電話の近くに置いておけば、一時的なメモを書くのに使えて便利です。