ヘイト対策法案、参院本会議で可決 今国会で成立へ:朝日新聞デジタル
ヘイトスピーチ法案が本会議で可決され、参議院を通過たのとことです。
それを受けて(受ける前から)ネット上では、「何がヘイトに当たるのか?」とか「施行後にどう変わるのか?」だとかいうことに侃侃諤諤の議論が巻き起こっているようです。
議論することは良いことだと思うのですが(それこそヘイトのし合いにならなければ)、実際どんな法案か知らないと、良いも悪いも正しいも正しくないも判断つかないので、読んでみることにしました。
これまでの流れ
ネットで検索してみると、色々な情報が出てきたり出てこなかったりして、よくわからなくなるのですが、時系列で見ていくと下記の感じのようです。
- 2015年5月、野党側が「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」を参院に提出 審議されるも「表現の自由を萎縮させる」と与党が難色を示す。
- 2016年4月、与党側が対案として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」を提出
- 2016年5月13日、参院本会議で(与党側の法案が)賛成多数で可決
野党案(民主、社民、無所属)
最初に野党側(民主、社民、無所属議員ら)から提出された議案が、下記の「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」で、通称「人種差別撤廃施策推進法案」*1という奴です。
人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案
一通り、読んでみましたが「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身」による差別を無くすため、国や地方公共団体が取り組む姿勢を示していて、良いんじゃないかと思いました。
具体的な内容については、政府が施策を策定し実施する責務を負うことになっているので、そちらにて議論されることになっているっぽいです。なんにせよこの法案だけで、今すぐヘイトスピーチが禁止になると言う内容のものではないです。
与党案(自民党)
それに対して、今国会で自民党が提出した法案は、下記です。
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案
野党案が、一般的な「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身」にフォーカスしているのに対して、自民党案では、「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」と言う文言になっています。
「適法に居住するもの」を入れるか入れないかで野党と揉めたみたいです。
「不法居住している在日は出て行け!」と言う主張だった場合、本法案は効果範囲外と言うことになるのでしょうかね?
まあ、細かいことはさておき、自民党案は、野党案より更に抽象的な枠組みを定める法案で、「国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責務を有する」とありますが、長々しくまどろっこしく玉虫色に書かれてますね。(^^;
きっと、法律の専門家が全力でお茶を濁して書いたんだろうと想像できます。
感想
まあ、どちらの法案にしても、対称となるのは「国と地方公共団体」みたいです。
「国と地方公共団体」が、今後差別解消のための取り組みをしましょうね。と言う姿勢が書かれています。
具体的にヘイトスピーチを対象ともしていませんし、この先の取組が積極的になされなければ、ただの「ガス抜き」と「対外アピール」でしか無いのではないかと思います。
もちろん、専門家ではないですし、法案を読むのも今回はじめての試みなので、こういう曖昧な法案がどのように運営されていくかもよくわかっていません。
素人が読んで、率直に感じたところを述べてみました。
*1:どうでもいいけど、この通称で法案を示すの本当の法案名がわからなくなって探すのがめんどいからやめて欲しい