セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

映画 立川談志を観た(映画感想文)

思いの外良かった。

いや、とても良かった。

芝浜が泣けた。

僕はあまり落語には詳しくない。

昔、テレビを良く観ていた頃は、たまに深夜に落語をやっていることがあったので、やっていればなんとなくぼーっと観ていた。

「名人の落語は、目の前からすーっと噺家が消えてしまい、登場人物の世界しか見えなくなる。そして、話しがストンと落ちて、目の前に噺家があらわれる。これが落語の醍醐味だ」

というような言説を聞いたことがある。

僕はこの話が大好きで、落語を見るときは、目の前からこの噺家が消えるかどうか楽しみに見ている。

落語の良いところは、「がははは」と爆笑するようなことは滅多になくて、目の前に展開する寸劇のリズムやテンポや、ちょいちょい挟まるユーモアを楽しみながら、リラックスした気分で見られるところだ。

心の温度をぬるくポカポカ程度にしてくれる。

熱すぎず、寒すぎず。

だから僕は落語が好きなのだと思う。

談志の落語は、それを語るほど詳しくはないんだけど、印象としては「面白い」と思っている。

他の人の落語(といえるほど詳しくないが)は、上記のようなポカポカを楽しむために観る感じなのだが、談志の落語は「わははは」と笑ってしまう。

くだらない話、毒舌、ブラックユーモア、メタや楽屋ネタ、なんでもやってしまう。

リズムやテンポ、テンションがちょっと違うのだ。

他より体感温度が1℃高い。

その領域に踏み込んでくるのは、談志だけだったと思う。

だから、談志の落語は目の前から消えない。談志は談志なのだ。

それでも物語に引き込まれるし、談志の世界に否応なしに引き込まれてしまう。

不思議な魅力を持った特別な存在。

それが談志なんだと思う。

談志がテレビで落語をやるのは稀だったから、観られた時にはテンションが上がった。

この映画は、そんなちょっと浮ついたテンションを思い出させてくれるものだった。

亡くなってしまったのは、非常に惜しいことだけど、こんな映画が観られてよかった。

また、どこかで落語を観る機会があれば良いなと思った。

落語心中

んで、映画を見るきっかけとなったのが、この昭和元禄落語心中。

おすすめされて観てみたんだけど、面白かった。

話はよく練れてるし、戦後や昭和の猥雑な雰囲気が好きなので、こういう舞台の話はワクワクする。

声優で言うと、石田彰と山寺宏一は凄いなと思った。劇中劇で、落語をやるなんて、相当練習が必要だろうし、アニメだから身振り手振りはアニメーターが作るわけで、それに合わせて喋りだけで落語をやるなんて狂気の沙汰としか思えない。

そして、二人は普段から落語の練習してるんじゃないか?というぐらいに上手かった。

それを観るだけでもこのアニメを観る価値があると思う。

僕は、少女漫画が極端に苦手なので、恋愛要素とか落語を神格化してしまうところとか、ちょっとチクッとする部分もあるんだけれど、それを含めても傑作だと思う。

そこが苦手でなければ大傑作だろう。

全部アマゾンプライムにあるので、加入している人なら、観て損はないと思う。