セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

ネガティブリスクとポジティブリスク

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この世の選択肢というのは、常に2つのリスクにさらされています。

近年、僕が難しい問題だと感じているのは、「痴漢冤罪」のリスクです。

皆さん御存知の通り、「痴漢」というのは卑劣な犯罪行為です。これに対しては、断固たる措置をとる必要があります。

しかし一方で、痴漢冤罪の問題も近年取り沙汰されるようになりました。

痴漢として被害者が指名した人物は、推定無罪や通常の取り調べをすっ飛ばして、ほぼ100%有罪が確定する仕組みになっているそうで、冤罪であれば、ある日突然が人生が吹っ飛ぶというリスクが、僕ら男性陣を震え上がらせます。

この問題は、非常にナイーブです。

なぜなら、ネガティブリスクとポジティブリスクの振り幅が非常に大きいからです。

痴漢冤罪によって、長期間の勾留を受ければ、対象者の人生を簡単に終わらせる事ができます。

しかし、現状の異常なほど厳しい対応であっても、痴漢の被害は一向に減らない(要出典)ということは、痴漢の有罪判定を厳格化した場合、ほぼ立件不可能となり、痴漢被害は間違いなく増大します。

どちらに転んでも大きな影響があるのですが、現状では誤検知のリスク(ポジティブリスク)に目をつぶり、検知漏れのリスクを減らすという選択をしていることになります。

現状のままで良いのか、何やら改善の余地があるのか、デリケートな問題だと思いますので、僕には意見は挟まないでおきますが、こういう現象もポジティブとネガティブ、2つのリスクがお互いに絡み合い選択を難しくしているのだと思います。

常に存在する2つのリスク

通常、「リスク」というとネガティブリスクを指します。

失敗するリスクです。

例えば、スマホを買ったら壊れていた。初期不良だった。となれば、被害を被るのは消費者ですから「消費者リスク」ともいえます。

がん検診をしたら、「がんじゃない」という結果が出たのに実は癌だった。となれば、患者にとってのリスクとなりますが、これは「偽陰性」と呼ばれます。

それぞれ、「生産者リスク」「消費者リスク」、「偽陽性」「偽陰性」というかたちで、工業製品の品質管理や、医療の現場では当たり前のように認知されている用語です。

それ以外にも、転職しようとした時に転職先で思うように働けなかったら「転職失敗」となるわけですが、現在の職に残ることによっていたずらに時間を浪費してしまうこともリスクとなり得ます。名前が付いていませんが、「機会損失」と言えば良いでしょうか。

このように、全てのリスクは、複式簿記のように2つのリスクに分けることができます。そして、その2つのリスクは釣瓶のように「相手が上がれば自分は下る」という関係にあります。

リスクを考える時、常に2つの可能性を念頭に置き、より合理的な判断をする必要があります。

それがなければ、安全性100%のようなリスクを一方的に押し付けて、結果的に全体のバランスを欠いて失敗するという事態に陥りかねません。