セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

なぜSTADIAはだめだったのか?

一年半前に下記のような記事を書いたんですが、その後ようやく(?)STADIAの終焉が決まったようです。

qtamaki.hatenablog.com

こちらの記事でも長々と書いているのですが、コンピュータとインターネットの世界を牛耳っているGAFAですが、ゲーム事業に関しては各社苦戦しているようです。鳴り物入りで始まったGoogleのクラウドゲーミングサービス"STADIA"が終了を発表しました。

automaton-media.com

理由として、上記の記事を書いたタイミングでは「よくわからない」と述べているのですが、最近の研究(?)により「箱物行政はダメ」という結論に落ち着きつつあります。箱物行政というのは、国や自治体が箱(イベントホールとかコミュニティセンターとか)だけ作って町おこしをしようとして失敗するアレです。

GAFAに代表されるビッグテックたちはプラットフォーマーなのでゲーム事業に関しても当然ながらプラットフォームを狙うわけです。そのため、まずはでっかい箱を作ってしまうわけですが、ゲームの場合これではうまくいかないと思われます。

automaton-media.com

これは2021年2月の記事ですが、Googleはゲーム開発のコストを「バカバカしい」と判断したのか知りませんが、自社スタジオを諦めてしまいます。この時点で死亡が確定したと私は思っているのですが、Goolgeのやっているビジネスは、メールにせよ広告にせよ検索にせよ動画にせよコンテンツを外部に依存しています。UGC(User-Generated Content)と呼ばれるユーザー自身がコンテンツを生産してくれるビジネスモデルを得意としているため、自身でコンテンツを生産するという行為がバカバカしくなったんでしょう。

ゲームの生産には莫大なお金がかかります。マイクロソフトもソニーも任天堂も莫大なコストと時間をかけて自社開発のゲームを作り続けています。ゲームというのは面白くてナンボみたいなところがあるので、各社そこのところでしのぎを削っているわけです。Googleは箱を作るための予算は無限に投資しますが、コンテンツを作るという行為にはたかが(?)数百億かけるのも惜しいと感じたのでしょう。ゲームなんて所詮コンテンツなので「そんな美味しくないところはサードパーティにまかせて自身は素晴らしい箱を用意すれば、誰かが面白いコンテンツで満たしてくれるだろう」という計算が働いたのだと思います。今までGoogleの成功体験からすれば当然の流れではあるのですが、ゲームではそれが上手くいかなかった。そういうことなんだと思います。

  • Google → STADIA撤退。しばらくはやらないだろう
  • Apple → Apple Arcadeは儲かっているらしい(要出典)
  • Facebook(Meta) → FBプラットフォーム上のゲームは撤退。メタバースに賭ける(失敗気味)
  • Amazon → 2021年に出した New Worldがプチヒット。クラウドゲーミングのLunaはどうなってる?

という状況でGAFAの現状はいまいちパッとしない感じです。AmazonはPrime Gamingもあって、毎月タダでゲームを配っていて、ゲーム販売プラットフォームになるわけでもなさそうなので何が狙いかよくわかりません(プライム会員のリテンションだけ?)が、最近認知度が高まってきています。AppleはiOSをゲームコントローラーに対応させたりして、巨大なユーザーベースを活用してうまいことやっているっぽいです。iPhoneがモバイルゲームプラットフォームとして本気を出したら瞬殺で天下を取る可能性が高いので侮れません(が、Appleは企業文化としてゲームを馬鹿にしている人たちの集団なのでうまくいかないと思っている)。

一部にまだ可能性を残していますが、現状ではGAFAのゲームプラットフォーマーへの野望は道のり遠そうです。そもそもゲーム市場自体が巨大になったとは言え数兆円規模なのでGAFAの胃袋を満たすには小さすぎるという話もあります。ビッグテックでは唯一マイクロソフトが狂ったようにゲーム市場に投資し続けていますが、マイクロソフトはゲーム市場の巨大プラットフォーム「Windows」を持っているので、ゲームに投資することが自社の基幹事業へのリターンとなるという実利的な側面もありますが、なんだかんだゲームが好きなんだと思います。

好きじゃないとやってられない産業でもあって、GAFAがおやつに食べるのは小さすぎる。今のところの結論はそんな感じです。