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セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

マーブルワーズ

ゴブリンを兵糧攻めすることに関する考察

なんでTRPGでゴブリンを兵糧攻めしないの? - Togetterまとめ

http://togetter.com/li/675498

 

こんなネタで、個人できにはもの凄く盛り上がるテーマなので、考察してみた。

 

まずは「ゴブリンを兵糧攻め」の定義から。

 

「ゴブリン」とは、小柄な亜人。知能低め。洞窟なんかに棲んで、人や家畜を襲う。個別には人間の体力にはかなわないが、徒党を組まれると厄介。

兵糧攻め」とは、城や砦にこもって守備する軍隊に対して、物資の補給経路を断つことで、飢餓に追い込み降参させる作戦。

 

今回の感じで言うと、巣穴に閉じこもるゴブリン達の補給経路を断つことで、わざわざ危険な相手の根城に乗り込んでいかなくても楽に勝てるんじゃね?

ということだと思う。

 

はたして、これは可能かというと、難しいんじゃないかと思う。通常、兵糧攻めというのは、退路や補給経路を断つため、守備側よりも多くの人員を必要とする。[要出典]

しかし、通常冒険者のパーティというのは、ゴブリン達よりも数が少ない。というかゴブリン達は数が頼りだ。多少やられても繁殖力でカバーするという、グッピーやイワシのような生存戦略なのだ。ゴブリン達を巣穴に封鎖しようにも、こちらの方が小勢であれば、封鎖の隙間を抜けて出入りされてしまう。

また、そもそも封鎖している側に一斉に襲いかかれば勝てると言う力関係であれば、守備側が手をこまねいて餓死を待つ理由はない。封鎖されたことが分かった時点で反撃を行い、少なくとも囲いを突破して逃走すればよいのだ。

この点でも、戦争における兵糧攻めとコブリンの巣との間に決定的な差がある。ゴブリン達には拠点を守るモチベーションが無いのだ。

ゴブリン達がそこを巣穴にしているのは、自分たちの縄張りの中で最も住み心地が良いからだと思われる。ゴブリン達が農耕をしているという話は聞いたことが無いので、彼らはおそらく狩猟民族なのだろう。そうなってくると、そもそも獲物を求めて移動している可能性が高い。手ごわい人間達(やその他の亜人達)を相手にするぐらいなら、一目散に逃げて、別の場所に巣を作ろうと考えるのが自然だろう。

軍隊相手に兵糧攻めが成立するのは、そこに「領地」があり「領民」がおり、そこからの利益で生活しているからだ。この領地を奪われてしまえば、流民となるか奴隷となるか、いずれにせよ生きていけない。この暗黙的なモチベーションが兵糧攻め成立には欠かせないであろうと思われる。

 

かくして、冒険者たちは、兵糧攻めにするよりも巣穴に乗り込んでいって各個撃破する道を選ぶことになるのだ。

 

ここからは蛇足だが、全く別の視点で考えると、あらゆる可能性を排除せず、作戦立案できるというのがTRPGの醍醐味であると言える。

たとえ兵糧攻めがうまく行かなくとも、火攻めや水攻め、陽動作戦、毒や罠、大量破壊兵器だて、実現性があるならば、どんどん提案して行くほうがセッションが楽しい物となると思う。

 

と僕は思う訳だが、この点はTRPGの核心的な部分を深くえぐるテーマで、簡単には語り尽くせないほど深い。

 

TRPGとは、もともと、役割を演じ、会話を交わしながら楽しむゲームである。「ごっこ遊び」と「ゲーム」のハイブリッドなのだが、場のコンセンサスを大事にし、参加者の力関係やノリで自由に設定を変えながら遊ぶ「ごっこ遊び」とシンプルであっても厳密にルールを適用した中で勝敗を決する「ゲーム」とでは、本質的な部分で根本的に相容れない概念だ。

このため「TRPGで遊ぶ」事は、「ごっこ遊び」と「ゲーム」の間のどこかに折り合いをつけて、お互いに不可侵な部分をごまかしながら遊ぶ。という試みになる。本質的にデリケートな問題を抱えた状態で、不安定な遊びを複数人で協力しながら実施して行かなければならないのだ。これは難易度が高い。

僕が中学生のころは、毎日D&Dで遊んでいたが、遊ぶたびに喧嘩になっていた。TRPGは人間関係の縮図であり、お互いの価値観の違いをぶつけ合ったり折り合ったりして遊ぶ遊びなのだ。

 

TRPGを「ごっこ遊び」と解釈するのであれば、「ゴブリンを兵糧攻めにしては行けないのか?」という疑問は自然と受け止められる。その場にいる参加者の間で考察を行い、実現可能なようであれば、実行し、その結果をGMが判断すれば良い。不確定要素があれば、ルールにしたがって適当に難易度を決め、ロールを行えば良い。

TRPGを「ゲーム」として解釈するのであれば、ゴブリンとの戦闘を能力値とルールに従って実施し、勝敗を決するためにゲームをする。コンピュータゲームによるRPGに近い解釈になる。

 

プレイヤーとGMの関係も、同じ物語を協力して作り上げるパートナーと見るか、モンスターを繰り出す敵であり、ルールを解釈し実行するコンピュータと見るかなど、さまざまな立場が複雑に入り乱れる領域なので、議論は尽きないだろうし、明確な答えが存在する問題でもない。

 

その辺の処も含めて、TRPGってのは面白い遊びだと思う。