セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

なぜGAFAはゲーム事業で失敗するのか?

(前提: ソシャゲを除く、古典的なビデオゲームの話です)

なぜなんでしょうね?

昨日、続けざまにAmazonとGoogleのゲーム事業についての記事が出ていました。

japanese.engadget.com

gigazine.net

2社とも、PCやその他向けのゲーム事業について、うまくいってなさそうな雰囲気です。まだ失敗とは言えないですが、黄色信号が灯っているのは確かです。

また、半年前ですがAppleの記事もありました。

japanese.engadget.com

各社それぞれ試みている事業も状況も違いますが、現状では、大きく伸びそうな感じがしません。

それぞれがやっていることを簡単に整理すると、こんな感じです。

  • Google
    • STADIAというクラウドゲームプラットフォーム。サーバー上にゲーミング環境を用意し、非力なマシンでもハイエンドなゲームができる。ただし高速ネットワークが必要
  • Apple
    • Apple Arcade 月額500円でiOSのゲームがやり放題
  • Amazon
    • Twitchの買収とAmazon Gamesというプラットフォーム立ち上げ。ハイエンドゲームの開発をしていた(失敗気味)。Lunaというクラウドゲームプラットフォーム開発中
  • Facebook(おまけ)
    • VRゴーグルのOculus買収。VRゴーグルは大人気だけどまだまだニッチ。OculusアカウントとFacebookアカウントの連携を強制して炎上

GoogleのSTADIAは一昨年ぐらいに鳴り物入りでローンチしましたが、その後音沙汰がありません。現状北米地域のみでサービスをしていますが、それにしても続報がなさ過ぎます。果たして何人ぐらいのアクティブユーザーがいるのでしょうか?もちろん、クラウドゲーミングという先見性は素晴らしく将来確実にメインストリームに躍り出るのでしょうが、それまでには後10年は待たないといけない気がします。そもそも、自分たちの撒いたAndroid端末のおかげで家にテレビがないご家庭も増えているみたいですし、10年後には大きな画面でゲームをする人口がどの程度残るのでしょうか。スマホゲーで十分になっていたりして。

Appleは、Apple Arcadeというゲームし放題のサブスクリプションサービスを始めました。当初は、カプコンの独占タイトルなんかもあったのですが、今では普通に基本プレイ無料レベルのゲームが置いてあるだけのサービスになっており、お金を払う意義が感じられません。

Amazonは、報道にある通りゲーム制作からは撤退気味です。かろうじてローンチできたCrucibleが「悪くはないけどつまらない」という微妙な駄作で速攻過疎って誰も相手にしなくなりました。更に上記のニュースだとほかの2本も開発中止とのことで、惨憺たる結果に終わっています。ただし、Amazonは、LunaというGoogleのSTADIAに類似したサービスを準備しており、これがSTADIAより出来が良さそうだと言うことで期待されています。

Facebookは、直接ゲームに関与している感じはありませんが、Oculusシリーズを販売していて、VR分野に橋頭堡を築いています。残念ながら撤退気味なんですが・・・。

考察

「なぜなのか?」と言っておきながら、あまり理由がわからないのですが、各社の企業文化とゲーム事業との相性が悪いのかもしれませんね。特にアップルは、GAFAの中では老舗でアップルII時代からゲームハードとして熱烈な支持者がいながら、半世紀近くオシャレなウェーイ系プラットフォームとしてしか機能していないので企業文化として無理そうです。ちなみにAppleはアプリも含め開発者を消耗品としか見ていない面があり、「我々のプラットフォームで商売させてやるんだからありがたく使え」的な殿様商売気質があるので、ゲーム開発者からは良く思われていないと思います。

これらの企業と比較すると、Microsoft(MS)とSonyの偉大さを感じます。2社とも参入時期が良かったのかもしれませんが、「家電屋(ビジネスアプリ屋)がゲーム事業をやっても失敗が目に見えている」と参入当時は冷笑気味だったと思いますが、それらの外圧を吹き飛ばして確固たる地位を確保しています。

MSとSony、任天堂(ついでにPCプラットフォームのSteam)を見ると、自社プラットフォームを維持するためには自社ソフトの爆発的大ヒットが不可欠なように感じます。いずれもなんだかんだ看板タイトルをいくつも持つ巨大パブリッシャーでもあるので。そういう点では、GAFAの4社とも看板となるようなタイトルを持っていないので、サードパーティ頼りということになるんでしょうが、その場合大手パブリッシャーは海千山千の老獪な交渉上手しか残っていないので、プラットフォーム側が巨大なユーザー数を背景にパワーゲームを展開できないと、良いように食い荒らされる結果になりそうです。任天堂でさえカプコンのタイトルを引っ張るのに数十億払っているみたいですし。

つまり、ユーザー数がいないと優良ゲームを確保できず、優良ゲームを確保できないとユーザーを引き寄せられないという悪循環が生じるわけです。プラットフォーム事業はシビアですね。

そのため、プラットフォーム事業として成功するためには、まずは自社タイトルとして爆発的人気を誇る看板タイトルが必要となるわけですが、GAFA各社は自社タイトルを諦めてプラットフォームに徹しようとしているので、どうなることやらという感想です。

現在MSは、自社の基盤を盤石にするために有望なパブリッシャーを買収する作戦みたいですが、GAFA各社も最低でも同じようなことをして自社の開発能力を高める必要があるでしょう。とはいえ、その辺は各社ともわかっていてゲームスタジオの買収やクリエイターの引き抜きもやったみたいですが、ゲーム業界の経験不足からか目利きが悪かったみたいで、駄作を連発してしまったというのが、昨日のニュースなわけですが・・・。

まあ、ゲームスタジオの買収は手慣れているはずのMSでも失敗気味なので、なかなか簡単にはいかないみたいなんですけど。難しいですね。色々

まとめると、この辺の要素が成功を阻んでいるように思えます。

  • 企業文化がゲーム事業に向いてない
  • プラットフォーム事業を成功させるにはメガヒット自社タイトルが必要
  • 有料ゲームスタジオを買収するには目利きが必要