格闘ゲーマーが光速の遅さに気づいたようですが、この現代においては「光速」というのがあまりに遅すぎて、各所で問題が起きています。
まず、世界規模での話をすると、東京⇔ニューヨーク間が、直線で約1万キロメートルあります。
光速が約30万キロメートル/秒ですので、東京⇔ニューヨーク間は、1000分の30秒、30ミリ秒かかるという計算になり、ネットワークが一直線に引かれているとしても、最速で往復60ミリ秒の遅延があります。
60ミリ秒という遅延は、20年前であれば問題なかったと思いますが、現在のコンピュータ間のやり取りでは、致命傷となりかねません。
金融取引
特に顕在化し易いのが、金融取引で、証券取引や外国為替市場では、とっくの昔にミリ秒単位での攻防を繰り広げています(6年前の記事です)。
金融取引では、ネットワーク遅延を少なくすることのメリットが非常に大きく、ゴールドマン・サックスは、1ミリ秒遅延を少なくすることで年間1億ドルの利益がでるそうです(出典を探したのですが出てこなかったので勘違いかも)。
4.5ミリ秒のために電波塔を立てても十分にペイするわけです(この辺は常に競争なのでライバルも電波塔を立てると利益が薄くなっていくわけですが)。
世界同時とは
また、「世界同時」の定義も非常に難解です。
相対性理論による時空の歪みもありますので、最終的には哲学的な領域に入りそうな気がしますが、グーグルは、世界中のデータセンターに原子時計とGPSを設置することで、少なくともある時間軸の中で「世界同時」を実現することにしたようです。
これも5年前の記事なんですけど。^^;
糞みたいに遅延するネットワークを利用した時間整合(NTPなど)では、あっちもこっちもドッタンバッタン大騒ぎで何が正しい時間なのかわからなくなるということです。
小さな世界
こんどは、小さな世界でのお話です。
私達が使っているCPUは、だいたい1GHzから4GHzで動いています。
1GHzというのは、1秒間に10億回クロックが発生するということです。
1クロックあたりの時間は10億分の1になりますので、これを光速に当てはめると約30センチメートル程度になります。4GHzだと7.5センチメートルですね。
桜の花びらが、秒速5センチメートルで落ちるらしいので、その約20億倍ぐらいのスピードですね。^^;
CPUというのは、2cm角程度の大きさなので、直線距離的には条件を満たしていますが、回路が入り組んでいるため、どの程度の道のり距離を進んでいるかはよくわかりません。
ただ、いろんな条件が重なって入ると思いますが、CPUの動作速度はここ10年ほど4GHzの域を出ていないという事の一因にはなっているんじゃないかと思います。
マザーボードの動作周波数は、800MHzぐらいですが、これも30cm角の板に配線すると考えると、これ以上の周波数は厳しそうです。
宇宙の知的生命体
この宇宙には、人類以外の知的生命体が無数に居ると思いますが、彼らとの交信についても、「光速の檻」が狭すぎて実現は絶望的です。
神様が、この宇宙をデザインしたとすると、決定的なところに致命的な枷をハメたわけです。
光速が遅すぎるため、コンピュータの進化もネットワークを利用したコミュニケーションも地球外生命との交信も一網打尽にやられているわけです。
「天網恢恢疎にして漏らさず」とは良く言ったものです。