セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

マーブルワーズ

「世界の麻薬産業」(視聴感想文)

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勉強になる: ☆☆☆☆☆
面白い: ☆☆☆☆☆
怖い: ☆☆☆

アマゾンプライムに出現してたので、観てみました。

いやあ。面白かった。

全8話ですが、あっという間に見終わってしまいました。

内容は、コカイン・ヘロインなどのハードドラッグから、合法ドラッグなどの様々なドラッグ全般についてのドキュメンタリーで、南米やアフリカの生産農家から、カリフォルニアやトロント、アムステルダムなどの売人や使用者までを追いかけて、密輸の手口や車泥棒など、ドラッグと関係の深い周辺組織まで、幅広く紹介しています。

様々な麻薬中毒患者や、密売人にインタビューや追跡取材を行っており、彼らの末路についても焦点をあてています。

今まで、なんとなく知っていた程度でしたが、より詳しく解き明かされ、どのようなエコシステムになっており、どのような問題を引き起こしているのかが、だいぶ詳しくわかりました。

重篤な中毒者が幾人も登場し、お金のために彼らに薬を売る売人や密輸業者も登場します。軽い気持ちで始めたドラッグにいとも簡単に取り込まれ、人生を棒に振りながらもそこから抜け出せない中毒患者たちは、自業自得とはいえ被害者でもあります。彼らに薬を売る密売人たちは、皆、悪びれもせず平然と薬を売り続けます。24時間365日薬を欲しがる中毒者たちのために、彼らも24時間体制で提供し続けるのです。

番組のあいだじゅう入れ代わり立ち代わり現れる彼らの言動に、非常に興味深く引き込まれるとともに、麻薬産業の恐ろしさを垣間見て薄ら恐ろしく感じました。

人を食いつぶし、国力を疲弊させるドラッグの蔓延は、なんとしても避けなければならない事態ですが、中毒患者たちがどんな手を使ってでも欲しがるものを容易く止められるとはとても思えません。人間の業の深さと、それが生み出した巨大で不定形な悪魔に対して為す術がない無力感が、恐怖の源泉にあるのだと思います。

ドラッグは、人間の脳内物質を模倣したりメカニズムをバグらせることで効果を発揮します。

人は単純な生き物で、脳内物質一つで、万能感や多幸感、幻覚や浮遊感をいとも容易く得られるのです。

しかし、正規の手順を踏まずに無理やり得た高揚感は、必ず揺り戻しを伴います。メカニズム的に安全なドラッグは存在しないのです。

絶対に手を出しては行けないと思います。

それともう一つ、番組ではドラッグの治療薬的な側面にも焦点をあてています。

あまりの痛みに、逃れるには自殺するしか無いといわれる「群発頭痛」の治療に、マジックマッシュルームを服用するお父さんのケースや、過去のトラウマから抜け出すための治療薬として、ドラッグを利用する人々や、末期の癌を患った人が、死の恐怖を和らげるために処方されるLSDなど、正しく適切に処置されたドラッグは、文字通り薬としての効用を発揮します。

これらのことが、自分の中でないまぜになり、とても複雑な感情と考察を得ました。

とてもおすすめです。