セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

マーブルワーズ

コミュ障の楽園?ヴィパッサナー瞑想10日間コースに行ってきました

「そうだ瞑想、行こう」

と、新幹線のキャッチコピーのようなノリで、瞑想に行ってきました。(またこの前振り)

ちなみにこれです→ Vipassana Meditation

実際には、思いたってすぐに出発したではなくて、社会人でありパパでもあるので、会社の調整とか家族の調整を踏まえて、思い立ってから1年ほど、実際の準備を半年ほど前からして、ようやく実現することが来ました。

俺氏「瞑想行っていい?」
かみさん「は?」

こんな感じのやり取りがあり、すったもんだの末ようやく実行に移すことができたわけです。

10日間家を留守にするだけなら、2週間おきに東京と酒田を往復しているので、むしろ普段通りなのですが、スマホなどの電子機器も預けてしまうので、 完全に音信不通で10日間 となると話が違ってきます。その間に急病になったとしても全く対応できないので、幼子を抱えた状態での蛮行は無謀としか言いようがく、かみさんも不満ブーブーではありましたが、なんとか許してくれました。同じく、会社の方も10日間の音信不通にお許しをもらい、さまざまな方には感謝の念しかありません。

どんな感じだったのか

一日のスケジュールはこんな感じです。

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スケジュール説明は、事前の資料にあったのですが、よく読まずに「まあ4,5時間ぐらいだろう」と高を括っていました。ちゃんと数えるとなんと10時間の瞑想時間、プラス寝る前に2時間の講話と、結構ハードです。早起きして一日中みっちり瞑想するスケジュールになっています。

しかも、参加当日にタイミング悪く風邪を引いてしまい、参加当初は「果たして10日間持つだろうか・・・」という思いが頭の中をぐるぐると渦巻いていました。

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死の方程式

幸い3日目からは体調も回復して、無事10日間の日程を終えることができました。

体調が回復してくると、暇になります。コンテンツが瞑想しかないので、「食う→寝る→瞑想」のサイクルを繰り返すことになります。ご飯の後には長めの休憩が入るので、相当暇だったのですが、体調も回復しきっていないので食っちゃ寝瞑想の生活を続けていました。

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聖なる沈黙ルール

瞑想期間中は、聖なる沈黙というルールを守らなければなりません。

開始直後から、10日目の9時過ぎまで、他の人と話したりジェスチャーしたりといった一切のコミュニケーションを禁止されます。そのため、ひたすら黙々と孤独に耐えなければなりません。

自分の場合は、見ず知らずの人たちと共同作業になるより、全くコミュニケーションを取らないで済む分、むしろ気が楽でした。

他の参加者と一緒なので、なんとなく寂しさがまぎれるし、しゃべらなくていいので煩わしくない。むしろコミュ障にとっては楽園と呼べるような環境かもしれないと思っていました。

参加者の構成

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参加者は、男女とも30名ほどの定員で、20代から50代ぐらいの様々な人が集まっていました。男女とも30%(7,8人)ぐらいは外国人で、それもヨーロッパ系の白人男性で、背が高くイケメン。神様は初期パラメータ配分を間違ってると思いました(女性は別行動なので詳しくわかりません)。

何故か、和装の若者が一人いて、外国人は大喜びだったようです。

食事

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料理は菜食です。玄米と野菜を調理したメニューが中心で、ヘルシーな感じでした。

それは良いのですが、何故か塩と油をほとんど使っておらず、すごく薄味で出汁が効いてるわけでもないので、食べるのがつらかったです。塩や味噌や醤油は配膳テーブルに置いてあるので、自分でカスタマイズして、塩気を濃くすればそれなりに食べられるのですが、体調が悪いこともあってテンション低めでした。

基本瞑想しかしていないので食事だけが楽しみのはず(?)なのですが、10日間全く食欲がわきませんでした。それはそれで瞑想に集中できて良かったと思います。

ちなみに、風邪と食事のダブルパンチで、3キロ痩せました(もう戻った)。

ヴィパッサナー瞑想とは

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ここで簡単にヴィパッサナー瞑想の説明をします。

マインドフルネス瞑想は、「気づきの瞑想」を指します。仏教や特定の宗教に限らず、ありのままの感覚を客観的に観察することを主眼とした瞑想のスタイルに対しての呼び名となります。

ヴィパッサナー瞑想は、マインドフルネス瞑想の元となったテーラワーダ仏教の瞑想方法で、お釈迦様が説いたとされる由緒正しい瞑想方法です。呼吸や思考、感覚などを観察し、悟りの境地である涅槃を目指すために行われる瞑想です。

S.N.ゴエンカ氏の瞑想コースは、ミャンマーの高名な瞑想者サヤジ・ウ・バ・キン氏の伝統を受け継ぐヴィパッサナー瞑想を10日間にまとめたもので、入門コース的な位置づけです(なおゴエンカ氏は故人です)。ヴィパッサナー瞑想にも色々なやり方や考え方があって、ゴエンカ氏のやり方や理論はそのうちの一つの流派という位置づけになると思います。

カリキュラムや聖なる沈黙ルールなど、世界中で同じ方式で運営されている瞑想のためのコースで、日本では千葉と京都に瞑想センターがあります。

テーラワーダ仏教とは

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仏教は、今から2600年ぐらい前にインドで発生しましたが、その後長い年月をかけ、アジア全土に広がりました。

日本で多く信仰されているのは大乗仏教と呼ばれる系統ですが、古くからの釈迦の仏教を遵守する人々による、テーラワーダ(上座部)仏教という系統があり、主に東南アジア(タイ、ミャンマー、スリランカ)で信仰されています。

大乗仏教では、悟りは阿弥陀如来よってもたらされる最終的な救済という位置づけですが、テーラワーダ仏教においては、個人個人が修行によってたどり着く最終ゴールの位置づけになります。

そのため、テーラワーダ仏教の仏教徒は、熱心に瞑想を行っています。

瞑想の実際

座り方に決まった形はなく、各自好きなように座ります。指導者(アシスタント・ティーチャー)と呼ばれる人の許可を得れば、正座椅子や椅子も使えます。

慣れないとどんな体勢でも体が痛くなるので、時折体勢を変えながら瞑想してもオッケーということになっています。

だたし、4日目以降は、グループ瞑想の1時間は動いてはいけなくなります。これが超辛いです。後で他の参加者と話した時も、この「決意の一時間」が辛かったという話で盛り上がりました。

みんな辛かったみたいです。

瞑想方法: アーナパーナ瞑想

コースの最初の3日間は、アーナパーナという瞑想方法を実践します。これは、呼吸を観察することによって集中力を養うための瞑想になります。

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リラックスして自然に鼻で呼吸し、呼吸に全神経を集中させます。正確には、鼻の穴の入り口から、鼻の下のチョビヒゲの部分に流れる空気を対象として、呼気が入って行ったり出て行ったりする感覚を観察します。

自然な呼吸を観察するために、深呼吸したり、意識的な呼吸をしてはいけません。呼吸の訓練ではなく、意識の訓練なので、すべての意識を呼気に集中し、客観的に観察します。

これを二日間続けます。

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3日目は、更に鼻の下のこの部分にだけ集中します。

この部分に起こる感覚だけに全神経を集中し、呼吸も無視します。

これを1日続けます。

瞑想方法: ヴィパッサナー瞑想

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4日目からは、いよいよヴィパッサナー瞑想です。アーナパーナは集中力を高める瞑想で、ヴィパッサナーにスムーズに入れるようにするための準備運動です。つまりここからが本番ということになります。

ヴィパッサナー瞑想はまず、頭の頂点の3cmぐらいの範囲に全神経を集中させます。

その部分に感じる「感覚」に集中し、客観的に観察します。

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次にその「感覚」を感じる部分を動かします。

3〜10cmぐらいの範囲にしぼり、体の感覚が存在することを確認し、次に移ります。それを繰り返し、全身くまなく調べます。

上から下へ、下から上へ繰り返します。

感覚の鈍いところや、違和感があって繊細な感覚を感じられない場所はじっくり1分ほど観察します。それでも感覚が感じられない場合は諦めて次の場所に移ります。

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慣れてきたらこんどは、左右対称に2か所同時に観察します。

これも、上から下へ、下から上へ、くまなく全身を観察していきます。

これらの観察方法は、非常に精神力を消費します。自分の場合は、どんなにやっても1往復30分ぐらいかかっていたので、これをやっているときは時間の進みが早くて助かります。ただし、極度の集中を要するため、疲れていたり、脳にエネルギーが足りないタイミングで行うと、上手く集中できませんでした。そうなると地獄で、残りの時間ひたすら足や背中の痛みに耐えながら瞑想の終了を待つしかありません。

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更に慣れてきたら、全身に流れるように感覚の流れを感じるようにします。

上から下へ、下から上へ、一か所や二か所ではなく、全身の感覚の流れを感じます。

さらに慣れてくると、体を貫くように、体の内部の感覚も調べ、全身くまなくサラサラとした繊細な感覚で満たされるようにがんばります。

この状態をバンガと呼びます。(ゴエンカ式)ヴィパッサナー瞑想の目標のひとつであり、目的地への扉を開く入り口となります。

バンガ状態をひたすら続けると、サンカーラと呼ばれる過去の因縁と結びついた、悪い感覚が浮かび上がってきます。その不快なゴツゴツとした感覚を観察することで溶かしていくと、やがてすべてのサンカーラは消滅し、涅槃(ニッバーナ)に至るという説明でした。

自分の教わった瞑想方法は、以上になります。

この瞑想方法を最終的な目的地である涅槃にたどり着くまでひたすら続けることになります。

10日間のコースを終えて

全体を総括して感想をいうと、とても良い経験になったと思います(小並感)。

10日間ただ瞑想をするだけなので、やることはシンプルなのですが、朝起きてから夜寝るまで、生活も含めてすべてをシンプルにするというのは、個人ではすごく難しいと思います。

外界の情報を遮断することによって、日常生活で煩わされる、さまざまな心配事や考え事と距離を取ることができ、だんだん余計な思いが頭に浮かばなくなってきます。

3日目ぐらいからは、日常生活では到底到達しえないような、とても深い集中に至ることができるようになってきます。

自分探しの旅をしたいなら、パスポートは必要ありません。本当に驚くべき体験というのは、どこか異国の地で起きるのではなく、自分の体の中で起きるのです。

社会人になると、時間を作るのもなかなか難しいと思いますが、機会があれば参加してみて欲しいと強く願います。

今回書いたこと以外にも、いろいろな体験や気づきがあったのですが、事細かに説明すると、とても長い記事になってしまいそうなので、今回はこれで終わりにします。

また、別の記事で個別の出来事などに触れていきたいと思います(たぶん)。