- 作者: 魚川祐司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 文庫
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去年から仏教をちょっと齧っているわけですが、特に初期仏教のブッダの教えに近い、思想と哲学に深く感銘を受けています。
本書は、仏教の「ヤバさ」(語彙力)を伝える入門書になります。
JBPressを読んでいたら紹介されていたので買ってみましたが、中々面白い!
結構厚めの文庫ですが、一気に読みました。
仏教の基本構造に関しては、他の本や経典の訳本で読んでいたので、言い回しや比喩表現の過激さとは裏腹に、大きく認識を逸脱するような内容はありませんでした。
むしろ、解りやすい説明で、より深く認識を深める事ができて、とても得した気分になりました。
テクニカルな部分では、輪廻の解釈について、勘違いしていたことに気づき、認識を改めることが出来たのが非常に良かったですし、「苦」に関して"unsatisfactoriness"という英訳を引いており、深く腹落ちしました。
本書では、様々な仏教用語に対して、英訳であったり原語であったりが紹介されます。
仏教用語というのは、古くから伝来されているため、漢訳された言葉を使用しているのですが、歴史が積み重なりすぎて、日常会話の中に溶け込みつつ、別の意味が付与されていたりするため、逆に理解しづらい部分があったりします。
このように、別の原語での表現と照らし合わせたりすると、本来の意味が浮かび上がったりして面白いものです。
本書の中で、筆者は「自分自身は特定のセクト(宗派?)に対する思い入れはない。それどころか仏教徒ではない」というようなことを書いていますが、本書の内容は、初期仏教及び、上座部仏教の紹介に重点が置かれています。
日本に伝来した仏教は、はるか昔に上座部仏教とは袂を分かった大乗仏教という奴なので、根本的な解釈がだいぶ違っており、私達が普段無意識に接している仏教的な価値観を当てはめようとすると、ぶっ飛ぶ事になると思います。
僕自身は、初期仏教の純粋でシンプルな哲学的側面に強く惹かれるものがあり、前提知識が多少なりともありましたので、違和感なくすんなり受け入れることが出来ましたが、この本を読むとひょっとしたら「異文化」との接触を体験することが出来るかもしれません(それこそが筆者の目論見かもしれませんが)。
ということで、お勧めです。
鉄は熱いうちにといいますので、読了感の残っている内に勢いで書きました。