近年、マインドフルネスが静かなブームを起こしていますね。
マインドフルネスとは、仏教用語のサティ(気づき)を英訳したもので、その名の通り「気づく」ことを中心とした取り組みを指します*1。
アメリカでもマインドフルネスは大変なブームとなっており、瞑想センターが各地にあり、大企業もセラピーの一環として摂り入れるようになってきているそうで、Googleやその他の先進的な企業が、従業員の福利厚生に取り入れたりしていることで、私のようなプログラマーの耳にも「マインドフルネス」という言葉が、時折飛び込んでくるようになりました。
マインドフルネスとは、もともとは仏教用語Sati(サティ=気づき)の英訳であり、根底には仏教の哲学が流れているのですが、「マインドフルネス」と言った時には、仏教に限らず、「気づき」をベースとした瞑想法やセラピー全体のことを指しているようです。アメリカらしい合理性で、瞑想法の一つとして、ストレス軽減や幸福度の増加などの効能に注目し、科学的なアプローチを取っているようです。
そもそも、仏教というのは非常に合理的な設計思想に基づく哲学体系を取っている宗教ですので、科学的なアプローチとは相性が良いはずで、飛鳥時代の仏教伝来以来、とても長い歴史を持つ日本の仏教ですが、「気づき」の哲学については、既にアメリカ仏教に抜かれているのかもしれません。
日常生活に溢れる「気づき」
話が脇道に逸れました。^^;
本題である、マインドフルネスの「気づき」についてですが、簡単なようでなかなか難しい話題です。
日常生活で「気づき」と言った時には、何らかの発見に基づく知見について指すことが多いように思えます。
Twitterなんかだと、日々、こういった種類の知見に溢れていて、何処かの誰かが「ふと気づいた」ことが、リツイートによって流れてくることが日常となっています。
自分のTLで、最近RTしたものを適当にピックアップするとこんな感じです。
限界の女からのお願いなんですけど、服の通販サイト、検索機能のチェックボックスに「ポケットがある」「透けない」「アイロンをかけなくていい」「洗濯機で洗える」の項目を追加してもらえたら最高に助かる
— け (@pantano_espada) 2018年3月16日
ほうほう。なるほど。確かに、そういう実用面での便利情報があったら嬉しいのかも知れない。「オシャレは我慢」と言いますが、女性のファッションは特に、実用性がないがしろにされる傾向が大きのでしょうかね。
ワーキングメモリ「机の広さが足りない」んじゃなくて「謎の理由で机の上にクソデカい信楽焼きのタヌキが置いてある」のような気がしてる。
— 借金玉 (@syakkin_dama) 2018年3月19日
借金玉氏は、発達障害を公言していますので、この場合のワーキングメモリーは「脳の短期記憶領域」を指しているのだと思いますが、見た瞬間、パソコンのメモリーのことかと思い、吹き出してしまいまいした。PCのメモリ上にも謎の信楽焼みたいなやつがいて、容量を食い散らかしている事が多いので、どちらにせよ、言い得て妙といいますか、良い気づきだと思います。
うちは両親の合計年収200万くらいの下流家庭ですが、東大には親が大地主、大企業役員の子とかざらにいて、彼らは当たり前のように3カ国語話したり、バイオリン弾いたり、留学経験があったりするんですね。最初は「天才だ」とビビってたけど、親から与えられる環境が背景にあるんだって気づきました。
— 夜間飛行 (@_vol_de_nuit) 2018年3月19日
はい。経済格差が教育格差を生み、貧困が再生産されるという話題は、よく取り沙汰されますが、下流(という用語で良いのかわかりませんが)家庭の出身者の実感として、格差に対する気づきがあったのですね。自分も家がそれなりに貧乏だったので、身につまされる思いです。
と。
この様に、現代社会では、毎日どこかで大量の気づきが発生しており、それらはインターネットを通じて、スピーディに拡散されます。明らかに「気づき」のハイウェイ化が起こっており、情報の発生と伝達のスピードは、日々加速しているものと思われます。
マインドフルネスの「気づき」
ここまで長々と話しておきながら申し訳ないですが、マインドフルネスの「気づき」は、このような「日常生活における発見」を指す意味での「気づき」とは、全く異なるものです。
マインドフルネスの「気づき」とは、もっとシンプルです。
例えば「呼吸をしている」とか「音を聞いている」とか「目になにか写っている」などの人間の五感に直接働きかけるような動きに対して、意識を向けることを指します。
自分がただそこにあり、何を感じているのかについて、余分な思考を排除して、なるべくありのままに気づいていきます。
考えるのではなく、気づくのです。
そのためには、静かな場所で瞑想をして、外乱やしがらみなどの心配事に捕らわれずに、自分自身と向き合う必要があります。
それが、マインドフルネス瞑想です。
私達は日頃、自分自身が呼吸をしていることにも、何かを見ていることにも、歩いていることにも気づいていません。
ただ、毎日のしがらみについて考えることに忙しく、日常生活における発見をツイートするのに忙しかったりして、自分が何をしているのかもよく分かっていないのです。
そんな世界から、一時的にでも脱出して、根源的な五感に意識を集中することが、セラピーになり、ストレスの軽減につながるということは、自然なことのように思えます。
- 作者: ウ・ジョーティカ,魚川祐司
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*1:ということは、「マインドフルネスの「気づき」」という日本語が既におかしいのですが、ご容赦ください^^;