セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

ようやくSTEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ) のトゥルーエンドまでいったので感想を書く(ゲーム感想文)(ネタバレ注意)

注意!本文はネタバレを多量に含みます。基本的に既にプレイした人か、ネタバレを気にしない人向けです

STEINS;GATE 0 - PS Vita

STEINS;GATE 0 - PS Vita

このところずっとシュタインズ・ゲート ゼロ をプレイしていて、ようやくトゥルーエンドまで到達しましたので感想文を書きたいと思います。

ネタバレを多量に含みますし、プレイした人を前提としたいので、ゲームの内容などに関する説明は省きます。

・・・ということで、プレイした方、いかがでしたか?

僕の感想としては、正直良いところと悪いところが色々あって、一言で「良かった」とか「悪かった」とか言いにくい作品だと思いました。

良い点

良い点としては、「シュタインズ・ゲートの正当な続編である」というところです。

続編というよりは、前作の紅莉栖エンドとトゥルーエンドの狭間の話です。

絵柄も背景も声優も変わらないので、完全にシュタゲーの世界にどっぷりと浸かることができました。

ほのぼのモードから急展開するところや、世界線の狭間で苦悩する登場人物たちに涙するところなど、シュタインズ・ゲートそのものといえます。

自分の場合24時間ほどでトゥルーエンドまでクリアできたので、プレイ時間も長すぎず話のボリューム感も良かったと思います。

悪い点

悪い点としても、「シュタインズ・ゲートの正当な続編である」というところが言えます。

前作のストーリーは、分岐はあるにせよ「紅莉栖→桐生萌郁→るか子→フェイリス→鈴羽」と過去を改変していき、それ逆順にたどって改変した過去を元に戻し、最後に紅莉栖とまゆりの死が天秤にかかるという単純な構造をしていました。改変を希望したキャラたちが願ってやまない世界を「元に戻さなけらばならない」というジレンマに苛まれることになり、物語に深みを増していたと思います。

さらに、前作はライトな「ギャルゲー」としての側面を持っており、前出のような過去改変を「巻き戻さない」という選択をすると、サイドキャラクターと結ばれる形でエンディングにたどり着くことができます。これは、疑似的に恋愛ゲーム的な要素となっており、各々特色のあるキャラクターに思い入れを育む役目を果たしていたのではないかと思います。

今作の難しい点として、主人公の相手は「紅莉栖」に束縛されています。もし、岡部倫太郎が浮気をするような展開にすると、紅莉栖を取り戻すためにみんなが頑張るというストーリーが、空虚なものとなり破綻してしまうため、岡部はどこまでも女々しく紅莉栖の幻影を追いかけます。つまり、前作で、ユーザー体験の両輪を担っていた「ギャルゲー」としての側面を封じられており、プレイがとても息苦しいものに感じられました(別にギャルゲーがしたいわけではないですが、登場人物がほぼ女の子なのにもかかわらず、恋愛要素はほとんど入らず、ひたすら重苦しく紅莉栖への贖罪に苦しむ話が20時間以上続くというのはつらい・・・)。

ストーリーの分岐も、前作のような単純なものではなく、分岐によってさまざまに展開していくため、世界の組み立てを把握するのが困難です。

レスキネン教授もわき役として死んでいく話もあれば、悪の黒幕として存在感を出す話もあり、かがりの役どころもコロコロと変わります。これが、ゲームの中の世界線の移動で説明できるものもあれば、どう考えても世界線の移動ではなく、「プレイヤーとしてゲームのストーリー分岐を変更すると世界が変わる」としか思えないような変化をします。

色々なものが前作に縛られているため、ストーリーの組み立てに苦労したのだと思いますが、ゲームへの没入感を妨げる方向に作用したのは残念でなりません。

作画が前作のままなのは良し悪し

今作の作画は、前作とほとんど変わりありません。そこは、良い点でもあるのですが、元々このシリーズ、作画がとても残念なので、プレイしていて気になりだすと止まりません。

キャラクターデザインのFUKE氏の作品を単体で見ると非常に上手なイラストを描くので、ゲーム内のキャラクターを担当している方が、残念な感じを出しているのでしょうか。

「そんなのお前の好みだろう」という声はもっともなのですが、プレイ時間が長くなるにつれて気になってしょうがなくなってしまうので、どうしても言わせてください。

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例えば、この「かがり」さんですが、毛量多すぎませんかね?

このゲームのキャラクター全般にいえるのですが、皆さん長い髪の毛をしていて、ものすごいボリュームなので、気になってしょうがないです。「そんな髪の毛ありえないでしょ!?」とつっこみしきりです。

あと、右手の姿勢が無理な関節の曲がり方をしていて、ポーズが苦しそうで見ていてつらいです。黒いライダースーツの女が誰かわからなくするためだと思いますが、みんなこのポーズをするので、違和感との戦いになります。

途中に入る一枚絵も、上手い時と下手な時の差が激しく、どういう担当で絵を描いているのか、プレイしながら頭の中をぐるぐる渦巻きます。できれば、別の作画でリメイクしてもらって、作画の違いで没入感がどのぐらい違うのか確かめてみたいです。

ちなみに、真帆が襲撃後にファイリス宅で借りたお風呂上りに緊張が解けてへたり込むシーンの一枚絵は最高でした。真帆のシーンは全体的にクオリティが高かった。

タイムマシーン理論の破綻

前作は、ぎりぎりタイムマシーン理論が破綻しきる前に物語が終わりました。

そのせいか、今作のタイムマシーン理論は破綻しっぱなしです。橋田親子は、最後までべったりで会話しまくりだし、世界線の収束についても、中心キャラは辛うじて生死のタイミングを破綻させてないっぽいですが、脇に行くにつれ、あっさり死んだりして「あれ?あっちでは生きていたのにこっちでは死ぬの?」みたいなことが起こります。世界大戦の開始時期も前後している気がするので、そうすると数億人規模で生死のタイミングがずれるのでは・・・?みたいなことが気になります。

過去や未来の影響がもはやよくわからないことになって、物語がシリアスに進行していてもどこか空虚になっていきます。

過去改変のパラドックスを綺麗に説明するのは難しく、物語を掘り下げればそれだけ矛盾や破綻との戦いとなりますが、残念ながら、シュタインズ・ゲートの「世界線」という概念は破綻しています。これを見る限り、タイムトラベルというのは存在しないのかなと強く感じざるを得ないです。

今作では、いっそタイムマシーンは封印してしまって、「アマデウスというAI」の話一本に絞った方がよかったんじゃないかとも思います。

逆に、AIとしての紅莉栖は、存在感が乏しくストーリーに与える影響も限定的で、説明不足感が否めません。もっとAIと実在の間で揺れ動く岡部倫太郎という展開も見たかったような気がします。

鳳凰院凶真の出番が少ない

鳳凰院凶真が高笑いとともに復活するシーンは、鳥肌が立ちました。やはり、岡部倫太郎は、鳳凰院凶真である姿がカッコいいのだと思います。

溜めて溜めて最後にドカーンというのを狙ったのだと思いますが、もう少し早く、中盤ぐらいで鳳凰院凶真を復活させて、そこから反撃の快進撃!みたいなストーリーだったらスカッと爽快だったかもと思いました。

結局紅莉栖救わないんかい

最後に、トゥルーエンドまでプレイし終わって、最終的に紅莉栖を救わなかったのでびっくりしました。

意図としては、前作のトゥルーエンドが、真のトゥルーエンドなので、そこへと繋がる物語で今作は終わるということなのだと思いますが、AI紅莉栖もフェードアウトして消えてしまったし、その辺を絡めて今作独自のトゥルーエンドを用意してくれたらうれしかったかなと思います。最後まで、カタルシスが訪れずに終わってしまって、欲求不満が残ります。

さいごに

ということで、不満点のほうが具体的で量が多いのですが。^^;

全体としては、シュタインズ・ゲートの続きのお話を読めただけでとても嬉しいです。ゲームシステムや絵柄がほとんど変わっていないので、続編というより、大きめのDLCという感じでしたが、逆にここまで「変えない」というのも勇気ある決断なのだろうと思います。

ということで、ネタバレしきった感じで、感想を終えます。

やっとゲームをクリアしたので、これからアニメ版のシュタインズ・ゲート ゼロを観ようと思います。